さんごの暮らし相談室 月と太陽

女性と子どもがいきいきと自分らしく生きることをサポートする現代の女性と家族のための総合相談室です。カウンセリング・マインドケア・現代野口整体・アロマトリートメント・人間関係コンサルティング・開業&運営コーチング・ホリスティック子育て相談・講座やワークショップを開催するほか、様々な情報をご提供しています。

代表ごあいさつ

翁川 花伊子(おいかわ けいこ)

日本福祉大学、椙山女学園大学、藤田保健衛生大学などで講師を務めたのち、子どもの誕生をきっかけに「現代社会で女性がいきいきと生きる」ための野口整体・心理臨床・関係療法を学ぶ機会に恵まれ、自身のテーマに取り組む中で、心理療法・ソーシャルワーク・ボディワークの臨床を本格化、相談室を開業。

 

人間のいのちの育ちを伝承してきたグリム童話や昔話の大切さに気づき、それらを現代的にアレンジすることを目指した雑誌『子どもとコミュニティ』の編集長を務める。

 

講座・ワークショップの開催、自治体における子ども子育て審議会委員、男女共同参画プラン推進会議委員などを務めるなど、女性と子どもをめぐるコンサルティング・コーチング・アウトリーチ活動をおこなう。

 

好きな言葉は「どんな葛藤も宝物に変わる、そのための錬金術はある」。好ことは古いびん集め、古い着物集め、庭仕事、野草やハーブの活用。

 

2005年 精神対話士養成講座修了(心理カウンセリング技術習得)

2006年 NPO等で当事者支援の活動をし、行政のセンター立ち上げのための事務局・研究員補佐を務める(ソーシャルワーク技術・専門家間でのコンサルテーション技術習得)

2007年 日本学術振興会特別研究員DC・PD(コンフリクト・対立解消の研究)

2008年 名古屋大学大学院社会環境学専攻科社会学講座博士後期課程満了

2010年 専門社会調査士取得(ライフストーリー・社会調査技術習得)

2011年 博士号取得(社会学)

2014年 小平整体塾にて野口整体の技術を習得

2015年 Institute of Professional Psychotherapyにて心理療法・関係療法・コーチング・ファシリテーション・ハーバード流交渉術等の技術を習得

2016年 さんごの暮らし相談室 月と太陽 創設

2018年 心理臨床家・関係コンサルタント・野口整体指導者として開業

2019年 子どもと保護者のケアスペース ウォルプタスの家 開設・主宰

2019年 葉山ホスピス&ペイン・カウンセリング 開設



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この相談室を開設する前、私は大学で研究・教鞭をとっていました。そのときは、現象学的社会学という社会学の一分野を専門にしていました。

 

そもそも大学での専攻を決めるとき、社会学・心理学・哲学の3つの学問のどれを専攻するか、たいへん悩みました。当時も心理学にとても興味があったのですが、心の問題を個人の問題に還元する個人心理学に違和感がありました。なぜなら、私の悩みはいつも他者と関係していると感じていたからです。

 

「なぜ人は生きるのか」「なぜ私は生まれたのか」などの哲学的問題にもとても興味があったのですが、形而上学的なことを日常生活の中にどのように活かせるのか、疑問が残りました。そこで、これらすべてを解決してくれそうな、社会学を専攻することに決めました。

 

私が社会学を学んだ時代は、ちょうど日本の社会学の黄金期ともいえる時代で、あらゆる優れた理論が出揃った時代でした。自己物語論、アイデンティティ論、フェミニズム、ジェンダー論、家族関係論、社会心理学、発達心理学、ポストモダン論、グラウンテッド・セオリー・アプローチ、ドラマトゥルギー論、ラベリング理論、構築主義、相互行為論、身体論、文化人類学、記憶論、現象学、現象学的社会学、現象学的相互行為論などを、まるで乾いたスポンジが水を吸い込むように吸収しました。

 

大学2年生のときに、現象学的社会学者の西原和久先生の講義で初めて「間主観性」「現象学的還元」という言葉を知ったとき、「これだ!」と直観したあの日を、いまでも昨日のことのように想い出します。A.シュッツの「関係性の網目」「相互同調関係」、W.ジェームズの「多元的宇宙論」、E.レヴィナスの「絶対的他性」など、どれもすべて日常生活世界のリアリティを科学的に説明する素晴らしい理論です。

 

大学院時代には女性支援をしているNPOにもかかわり、寿町でソーシャルワーカーをされたのちに愛知県立大学に赴任された須藤八千代先生に招かれ、政令指定都市のDV防止センター立ち上げ研究会の事務局をやらせていただきました。「女性相談」の深みについて知ったのは、須藤先生との出会いによってです。

 

その後、実父が癌になり、本人の意思で自宅で看取ることになりました。自宅で父を看取るうえで、一番たいへんだったのは、家族や親族たちを説得することでした。しかし、穏やかに安らかに息を引き取った父を見て、家族・親族は心から納得したようで、残された人間のグリーフ・ケアはとても豊かなものになりました。

 

このときの看取りの現象学的記述は、看護ケアの現象学を研究されている西村ユミ先生の研究会から依頼を受け、報告させていただきました。父が私に残してくれた、とても大切な財産です。

 

戦後、人間が生まれる場所と死ぬ場所は、家から病院へと急激に移行しました。それまで、日常の中にあった生死が、生活の中から切り離されたのです。今日では、生死が生活から切り離されていることに疑問を感じ、人間の生命を尊重するターミナルケア・在宅医療も進んできています。

 

博士論文では、「他者を理解することは可能なのか」という問いを考察しました。結論は、他者を〈理解〉することはできない、という態度から始めねばならないというものだったのですが、のちに出会うことになった関係療法において、自分が導き出したこの知見が関係療法におけるカウンセリング技術のひとつの鍵であることを知りました。「他者を〈理解〉することができない」からこそ、癒しをもたらす深い共感は生じるのです。

 

それから、東日本大震災が起こりました。私は関東で被災したのですが、多くの人びとにとってそうだったように、私にとってあれほどの驚愕体験は初めてのことでした。震源地近くで被災された方々のことを思うと、いまでも深い悲しみで胸が痛みます。関東の避難所にボランティアに行ったのですが、そこで目の当たりにしたのは、メディアで流れるような話とはちょっと違う現実でした。痛みの共感ということについて、また、支援ということについて、改めて深く考えるきっかけとなりました。

 

私自身の子どもが誕生しました。このときに初めて知ったのは、私自身の子どもの産み方・育て方の無知さでした。しかしこれは当然でもあります。現代社会では、子どもを産むことや育てることについての叡智やノウハウや感覚を教えてもらえる場所も機会もほぼありません。私が幸運だったのは、自分の無知さを知ったことと、それと同時に、いのちを産み・育むためのあらゆる叡智・ノウハウ・感覚を体系化してきた野口整体と出会えたことでした。

 

今日では自然療法として有名な野口整体ですが、私が師事した先生は産後前産・赤ちゃん・子どもへの操法を得意とされる稀有な野口整体の指導者であることは、さらに幸運なことでした。何よりも、この小平整体塾の高橋秀和先生との出会いを導いてくれたのは、いわゆる「手のかかった」私の息子のおかげであり、感謝し尽せません。

 

私にとって、野口整体は現象学的社会学の実践であり、たいへん腑に落ちるものでした。高橋先生は、超越的な立場から指導されることはなく、積極的に地平を共有し私自身が家族に整体できるよう、自然に指導してくれました。あとから知ったのですが、このような野口整体の指導者はほとんどいないようです。野口整体の始まりが高橋先生でなければ、もしかしたら私は野口整体をやっていなかったかもしれません。

 

それから、プロセスワークと出会うことになりました。しかし、プロセスワークそのものというよりも、プロセスワークを日本に導入した富士見ユキオ先生と岸原千雅子先生が関係療法を展開された時期に、おふたりに師事することができました。これもまた、幸運としかいいようのないことでした。

 

関係療法は、個人の心について関係性を踏まえて捉える立場であり、また、人間の心の成長と発達、人間の主体化は関係性の中でなされると考える立場です。現代人の心性にぴったりと合い、現代人の心の悩みに結果を出すことを追究した関係療法は、これもまた現象学的社会学の実践でありました。

 

私がこれらとの出会いに驚いたのは言うまでもありません。なぜなら、大学で研究・教鞭をとっている間、私を日々悩ませていた「あなたは現象学をどうやって実践・実証するのだ?」という質問に、やっとレスポンスができるようになったからです。

 

自己とは何か」「家族とは何か」「女性はどう生きるべきか」という、若き頃の私の疑問はこうして解かれたのです。

 

ある心理学者によれば、子どもに「僕はどこから生まれてきたの?」と聞かれたとき、「あなたは宇宙から生まれてきたんだよ」と応えると、子どもは安心すると言います。確かに、私たちの人生は、その始まりから終わりまで、神秘性に満ちています。神秘的な存在である人間が、その生をいきいきと充実させるには、合意的・合理的な現実社会との調和が不可欠です。

 

様々な学問領域を経験してきたからこそ、安定感・持続性・自律性のある総合的なセラピーをご提供できています。

 

日本では、まだ心理カウンセリングに躊躇のある方も多いようですが、カウンセリングにおける〈言葉の力〉には、私自身、言葉の可能性をみるようで驚いています。霊長類研究者の山際寿一先生は、「人間は共感を拡げるために言葉をもったのではないか」と言われていますが、日々、人類の進化の秘密に触れるようです。 

 



2019.07.22 Monday